あなたに追いつきたくて


昼休み。

体育祭前の私達は昼練をする。



部活を引退してから全然運動してなかった私は体力が落ちていてキツかった。

「昨日体調崩してたんだし、安静にしてた方がいいよ」

と遥に言われ、私は見学に。


次は全員リレーの練習で、私の位置には先生が入ってくれた。

…速いのかな?とか色々考えたりしていよいよ次が先生の番。


先生の前の人は

「歩斗くん!がんばれ~」っていう女子の声が大きい。


…歩斗!?え、てことは私の前歩斗ってこと?

そのことで頭が一杯になってきて。


歩斗は前のクラスをどんどん抜いていったやっぱ速いんだ。

歩斗が先生にバトンを渡す。

バトンを渡すときに何か言ってるように見えたのは気のせいなのかな…


「杉田先生はやっ!」

いつもダルそうにしている先生が速いと思わなくて思わず声を上げた。

声大きかったかなと思い周りをキョロキョロ見てみると女子は走り終わったばかりの歩斗に夢中だった。

モテるな~。あんなに可愛い子いっぱいいるのになんで私なんだろう。


そうおもって眺めてると歩斗と目があった。

でも私はすぐにそらしてもうすぐ走り終わりそうな先生に視線を戻す。

先生は2位でもらったバトンを1位にして次の人に繋いだ。


やっぱかっこいいな~

先生にお疲れさまですっていいに行きたくて私は先生にむかって歩き出した。


私は誰かに横から手を捕まれ歩くのを止めた。

「綾花、俺の走り見てくれた?」

「ぁ、みたよ?速かった!2人くらい抜いてたよね」

声をかけてきたのは歩斗で、どうにか平常心を装って言葉を返す。


「ありがとう、良かった~。俺、綾花見ててくれたらいいなと思って一生懸命走ったんだ」

「うん、ありがとう。あの、この間のことちゃんと考えるからね」

そう言うと歩斗は少し口元に手を持っていって

「わかった‥//」

と答えた。

「じゃー、私いくね」

そう言って再び歩き出すと先生は大学から一緒の小高先生と話していた。


小高先生は国語の先生ですごくきれいで女子からも男子からも凄く人気がある。


高校までバスケをやっていたこともあって運動能力がたかいのか、バテていた先生をちょっとバカにして笑っていた。

先生も笑うなよとかいって楽しそうに話してて

あんまり見れない先生の笑顔をあの人は簡単に見られるんだ‥


羨ましいなぁ。私も早く大人になりたい強くそう思った。
< 13 / 30 >

この作品をシェア

pagetop