あなたに追いつきたくて
気づいたこと

自分の気持ち

先生は小高先生といるときだけ他の先生といるときと違う表情を見せる。


きっとそんなの本人も小高先生も分かってないけど、私にはそういう風に見える。


やっぱ、噂の通りつきあってるのかな。


初めは同じ大学で同い年だから噂流れてるんだろうな。ただのデマだろうけど


としか思ってなかったけど、今こういうの見ると本当にそうなのかも知れないなとか思っちゃう。

予鈴が鳴って皆は走って教室に向かう


でも、私はなんとなく無駄に晴れてるこの校庭にいたかったからゆっくりと歩いた。


もし遅れても体調悪かったので、すみませんって言えば大丈夫だとおもう。

そんな事を考えながら下を向いて歩く。

薄茶色の砂はずっと景色を変えない

バンッとなにかにぶつかって顔を上げると


目の前には先生。と小高先生


「す、すみません。前見てませんでした。」

「…大丈夫だけど、平気なの?まだあんまり体調良くないんじゃない?」


あれほど話したかった先生とこんな形で話せるなんて思ってなくて

言いたいこといっぱいあったのに今は全然浮かばない。

「そっか、昨日倒れちゃったんだよね?」

私は小高先生の質問には答えず


「…あ、杉田先生、昨日はありがとうございました。それじゃ、授業あるので失礼します」

そう言って教室に向かってはしった。

なんでこんな愛想のない言い方しか出来ないのかな

小高先生に嫉妬して、なにも答えないでいい逃げする、なんて。子供過ぎだよね。
 
教室に着いて制服に着替え自分の席に座って突っ伏する

チャイムが鳴ってしばらく静かだった教室

ガラガラっていう教室のドアが開く音がして前を見る


え、何で杉田先生いるの?
  
隣の席の歩斗の机をみると社会の教科書。

私の視線に気づいたのか歩斗は小声で

「今日は朝担任が言ってたけど、時間割と変わってこの時間社会なんだよ。」

と言った。

やらかした。朝の担任の話なんてぼーっとして聞いてなかった。


さっき感じ悪くいい去ってしまっただけに居づらい


集中なんて出来るはずのないこの授業。

私の頭の中はさっきの小高先生と先生の楽しそうな姿と自分の言ったことのリピート。

仕方なく、外を眺めていると 

昨日とは違う、白のパーカーを羽織った先生が視界に入ってくる。

ぺちっと音が鳴っておでこに痛みが走る。


「いった…」

「外なんて見てるからだろ笑」

「体罰…」

ボソッと呟くと聞こえていたらしく


「ちゃんと俺のこと見とけ」

そう言って前に戻っていった。


今は板書を移して自分の意見を書く時間だったらしく、あまり注目されていなくて良かったと思った。

“ちゃんと俺のことみとけ”どういう意味で言ったんだか分からないその言葉に


「先生は見てくれないくせに…」

呟いた私の声はきっと誰にも届かない

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