あなたに追いつきたくて
起きると、先生もベットの横に座って寝ていた

いつもなら絶対見られない姿に思わずふふっと笑ってしまう


「んん、あれ、白岡さん起きたの?」

「すみません、起こしてしまいました?」

「いや、俺こそ看病しにきたのに寝ててごめん。」


「疲れてたんですね。そろそろ、中間だからですよね。」

「そうそう。白岡さん少し楽になった?」


「はい」

「じゃあ、聞いてもいい?」

「はい?」

「昨日の帰りなにかあったんでしょ?」

「えっ、」

真優といい、先生といい鋭いな。私の周り。とか、冷静に考えてる場合じゃなくて

「…まぁ、色々」

と答える。

「へぇ、それが熱の原因だと思うけど、なにがあったの?」

「歩斗にこ、告白されて…友達だとおもってたからどうしたらいいか分からなくて」


「振ったの?」

「いや、考えさせてって言いました。先生、付き合うのどう思います?」

「あー、懐かしいなぁ。そういうの。」

この人真面目に人の話聞いてるのかな?私結構真剣に悩んでるんだけどな…


「あぁ、ごめん。えっと、飯田くんモテるし付き合ってみるのも経験かもよ?」

「先生も真優と同じこと言うんですね」


「んー、でも、俺自身の気持ちだったら付き合って欲しくないかな…」

「えっ?どういうことですか?」

「あっ!いや、えっと、教員として好きな人と付き合うのがいいのかな~って」

なんか、何でか分からないけど、胸の奥がギシギシと痛む。

期待して、損した。そんな気分。

…あれ、私なにに期待してたんだろう。。

「白岡さん?」

「なんですか?」

「お昼、食べてないでしょ?何かつくってくるよ…」

そういって立ち上がろうとした先生を私はとっさに引き止めた。

「い、行かないで下さい…//」

「えっ…あ、心細いのか!」

と笑う先生は私が今なにを思っているかなんて知らない。

私が知らなかったのは、歩斗の気持ちだけじゃなくて、自分の気持ちも、なんだ。

引き止めるときにつかんだ手はそのまま繋がれていて、私はその手をそっと握りしめた。

「なに?」

と笑顔で言ってくる先生にドキドキするの心臓の音が初恋のお知らせを告げる


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