Real Heart
この子がお腹の中にいるのが分かったのは、

あの人が交通事故にあった日だった。

いつもの来る日になっても来なかったので病院に行くと、妊娠している事が分かった。

早く伝えたくて電話した時には、まだあの人は生きていて



『本当に?やった!俺たちの子どもかぁ。名前何にしようか。あっ、女かな、男かな』

まるで、小さい子が欲しかったおもちゃをやっと貰えた時のようなはしゃぎ様だった。


「もぅ、先走りすぎ。まだ二ヶ月だから、お腹もふくらんでないのよ?」

『それでも俺とお前の可愛い子どもだよ。ママ似ならくりくりした大きな目の可愛い子。俺似ならくせ毛の可愛い子』

「うふふ、どっちも可愛い子じゃない。あなたは立派な親バカになるわね」

あの人のそんな姿が容易に想像出来て声に出して笑ってしまった。

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