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幼馴染という関係
タクミとは物心ついた頃からずっと一緒だった。

みんなより小ちゃくて泣いてばかりいたタクミをいつも守るのがアタシの役目だった。

そんな小さなタクミがバレーボールを始めて
中学の2年生頃から急に背が伸び始め
いつしかアタシの身長を抜いて
女の子から騒がれる様になった。

バレンタインデーには数え切れないほどのチョコレートをもらってるタクミを見て
アタシの手の届かないところに行ってしまうんじゃないかと思った。

アタシはいつからタクミを見てドキドキする様になったのだろう。

そんなアタシの気持ちも知らないでタクミは昔と変わらず接して来る。

「キョウ、数学の宿題やった?」

「ううん、まだ。」

「終わったら見せてよ。」

「一緒にやらないの?」

「部活キツくて疲れた。終わったら起こして。」

アタシのベッドに眠ってるタクミの横で
アタシは仕方なく問題を解いて
終わるとタクミを起こした。

「タクミ、終わったよ。」

「うん、ああ、サンキュー。」

タクミが起きて答えを写してる間、アタシはタクミの顔をぼーっと見ていた。

「何?いい男とか思った?」

「バカじゃないの?」

顔が赤くなってくのがわかった。

「なぁ、キョウ…お前俺以外の男とキスした事ある?」

「え?」

まだ小学生に上がる前、アタシはタクミとしょっちゅうキスしていた。

アタシの両親が恥ずかしげもなく、毎朝父が出かける時に母に軽いキスをしてるのをアタシたちが偶然目撃してしまい、ママゴト遊びで真似していたからだ。

「あれはキスって言わないよ。」

「そっか?じゃあどんなのがキスだと思う?」

「わかんない。

タクミは誰かとした?」

タクミは首を横に振った。

「してみる?」

そう言ってタクミはアタシに近づいた。

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