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「入院してもう少し詳しい検査をしましょう。」

次の検診でアタシは医師からそう告げられた。

レオは深刻な顔をしていたが
アタシと目が合うと急に笑顔を作って

「大丈夫。検査のための入院だから。

そんなに心配しないで。」

と言った。

そのあと、医師とレオが話をしていて
アタシは嫌な胸騒ぎがした。

確かに少し疲れていた。

腰痛が続いて怠かった。

そしてアタシはなかなか病院から出られなかった。

レオは病室に来て、笑顔でいたが
その笑顔がとても哀しそうに見えてアタシは予感がした。

「今日は…話があるんだ。

先生に頼んで俺から話すことにしてもらった。」

そう言われた時、もう覚悟は出来ていた。

「…もしかして再発したの?」

レオは黙って頷いた。

「でもまた良くなるよ。

もう一度移植するって事も出来る。

だから落ち込んだりしないで。」

「うん。また頑張るね。」

ホントはくじけてしまいそうだった。

あの辛い治療をまたやるのかと思ったら
逃げ出したくなった。

でもレオの温かい手がアタシを勇気づけてくれる。

アタシの病気を知ったタクミは時々お見舞いに来てくれた。

タクミはレオとは違ってそんなアタシを見ると泣いた。

「キョウ…オレ、キョウが助かる為なら何でもする。」

そう言って泣いてくれた。

今のアタシにはホントはそんな涙は辛いだけだけど…
真っ直ぐなタクミらしくてなんだか懐かしい気持ちになった。











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