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キョウが居なくなって一年が過ぎた。

オレにはキョウの言った通り好きな女が出来た。

新しい恋人はキョウに似ている。

キョウはああ言ったけど
オレはキョウを本気で愛してた。

キョウもずっとオレを愛してたハズだ。

束縛も支配も愛だ。

ずっとキョウが欲しかった。

でもキョウはレオと最後まで別れなかった。

死に行く自分を看取らせたく無かったんだとわかってる。

キョウは俺がそれに耐えられないと知ってたからだ。

わかりすぎるほどわかる相手は
恋愛するのに不向きなのかも知れない。

キョウに似た新しい彼女は中身はキョウとは違う。

彼女の生い立ちも関わってきた友達もよく知らないし
わかるのはその顔と
身体のラインと喘ぐ時の声がキョウに似てるってことだ。

キョウはこんな愛し方しかしないオレをバカだと思って許さないだろう。

キョウは俺のコントローラーを握ったまま死んだのだ。

オレは未だその支配から抜け出せずにいる。

今日も彼女を呼び出して抱いた。

キョウに逢いたかったから。

愛してるのはキョウだけだった。

執着でも支配でも愛してた。

彼女を抱き終わると虚しくて切なくて苦しくなった。

キョウに逢いたい。

キョウに逢いたくて堪らなかった。

キョウの居ない世界は
すでに終わったゲームの中に閉じ込められてる感じだ。

動きもしないゲームの中でオレは思考も感情も失いただその場に居るだけだ。







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