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タクミのお葬式は親しい人だけでひっそりと行われた。

有名人だったタクミの死の真相は色々な推測で書き立てられたが
どれも真相とはかけ離れていた。

ハナエと斎場で逢って二人で帰りに飲んだ。

「あの二人…結局一緒になったんだよね?」

「どうだろう?

タクミは自殺だから、神様が怒って逢わせないかもな。」

「キョウの事本当に好きだったんだね。タクミ…」

「オレたちは何だったのかな?」

「本当だよねぇ。」

ハナエは苦笑いしながら溢れる涙を拭った。

「邪魔なんかしないで一緒にしてあげるべきだった。」

「オレはキョウを愛した事、後悔なんかしてないよ。
キョウはオレの腕の中で幸せに亡くなってったんだ。

タクミなんかといたらきっともっと深い傷を負ってた。」

「うん、そうだよね。

キョウはレオがいたから幸せだったと思う。」

「だからこれでいいんだ。

タクミは最後まで馬鹿で自分勝手なヤツだよ。」

タクミに腹が立って仕方なかったが
ホントはオレも少し後悔していた。

あの時、タクミとキョウを許せばよかった。

キョウを失って生きてくことが嫌になる程
タクミはキョウを愛してたのに…

オレはただ願った。

来世ではきっと二人が愛し合えるようにと。



そして時は流れた。

あの時の罪悪感はだいぶ薄れていた。

オレはまだ一人でいる。

キョウの事をまだ愛してるとかそういう理由ではなく
ただ一緒に暮らしたいと思えるほどの人に会えないだけだ。

キョウとタクミのことを忘れてはいないが
日々の生活に追われ思い出すことは少なくなった。

生きていく者は辛い過去を少しずつ自分の中で癒していく。

それがどんなに耐え難いことでも
その時受けた傷は時間とともに癒される。

タクミの選択はとても許される事ではないが
タクミはキョウに支配される人生を選んだ。

本当に最後まで純粋で馬鹿なヤツだった。


「あの、ここ空いてますか?」

今日、電車で隣に座った彼女は偶然にも以前入院してオレが担当していた人の家族だった。

やけに気が合って色んな話をした。

何となくまた会いたくて連絡先を交換した。

オレは今日を生きてる。

生きてればまたキョウを愛したように人を愛する事もあるだろう。

そして彼女がその始まりだったとはもう少し後に知ることになる。




〜controller 〜



THE END




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