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タクミはハナエの隣に座って
正面に座ったアタシの目を見る。

「キョウ、久しぶりだな。」

アタシは目を合わせられないまま答えた。

「あ、うん。そうだね。元気だった?」

「まぁな。

ハナエ、何食べる?」

タクミはまるでアタシに見せつけるみたいに
ハナエの肩を抱いてメニューを2人で覗いてる。

アタシはそれを見たくなくてトイレに行くと言って席を立った。

化粧室の鏡に映る情けない自分の顔を見たら泣きそうになった。

トイレを出るとそこにタクミが立ってた。

「キョウ、何で逢いに来なかった?」

アタシはテーブルに1人でいるハナエが気になって
タクミの質問には答えなかった。

タクミはアタシの腕を掴むと男性側の化粧室のトイレの中にアタシを押し込んでキスして来た。

「何するの?ここ男子トイレだよ?」

「ハナエには絶対見つからないだろ?」

「お願い、ここから出して。」

タクミはアタシの顔を両手で包んでジッと見つめると

「お前からキスしてくれたら解放する。」

と言った。

アタシは震えながらタクミの唇に自分の唇を押し当てた。

タクミが頭を抑えて舌を入れてきて
息が出来なくなりそうだった。

タクミはアタシの髪を撫でてもう一度キスすると

「ちょっと待ってろ。」

と周りに他の男の人が居ないのを確かめてアタシを外に出した。

アタシは女子トイレにもう一度入って
キスで落ちたグロスを塗り直した。

タクミは唇を拭っただろうか?

そんな事を心配しながら席に戻るとレオが来ていた。


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