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もしかしたらハナエはホントにタクミが嫌になってるのかもしれない。

そんな浅はかな考えがアタシに浮かんだ。

アタシがハナエと別れってってタクミに言ったらタクミはホントに別れるかもしれない。

それでもそんな事は口に出来ない。

ハナエと別れてタクミがアタシのモノになったら
ハナエはきっとアタシたちを許さないだろう。

ハナエは優しくていい子だけど
プライドがものすごく高い。

結局ハナエとの友情を失う事になる。

アタシにはハナエを失ってまで
タクミが欲しいという気持ちはまだ無いのだ。

レオだって居るし…

朝、レオの部屋に行ってみると
レオは机に座ったまま眠っていた。

「レオ、布団で寝て。」

アタシが起こすとレオは時計を見た。

「もう朝か…」

「今日は大学、休みでしょ?

ゆっくり寝たら?」

レオはアタシにキスをして

「じゃあ、キョウ…一緒に寝てよ。」

と微笑んだ。

この笑顔を壊す気はない。

アタシは昨日タクミとキスしたことを後悔する。

タクミがどうしても欲しいわけじゃない。

アタシはレオの胸に抱かれながら
そんなを考えていた。

罪悪感からアタシはレオに甘い言葉を告げる。

「レオ…好きだよ。」

アタシがそう言うとレオは笑って

「俺はキョウを愛してるけどね。」

と言った。

アタシなんかの事をこんなに真っ直ぐに思ってくれるレオを傷つけたりしちゃいけない。

そしてアタシはまた誓う。

決してもう2度とタクミを男として見たりしないと…

何度も自分に言い聞かせた。
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