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タクミはアタシの腕を掴むと店を出て
すぐ横の路地に連れ込まれた。

「何?こんなとこに連れ出して…ハナエとレオに見つかったら困る。」

タクミは逃げようとするアタシを捕まえて
何も言わずにキスして来た。

アタシはタクミを突き飛ばして店に戻ろうとするが
タクミはアタシの腕を離さなかった。

「キョウ…俺と離れて平気か?」

タクミの顔はいつになく深刻でアタシは騙されそうになる。

「タクミはこれから世界を目指す人でしょ?

アタシたちはもう進む道が違うんだよ。」

「大阪まで逢いに来てくれよ。」

「まだそんな事言ってるの?」

「俺…ハナエとは別れることにしたから。」

アタシはそれを聞いてビックリしたけど
正直なところホッとしている。

「ハナエは…納得したの?」

「まだだけど…別れるよ。

どうせ遠距離になるし、なかなか逢えなくなる。

だから…こっちに来た時とか、
お前が大阪に来てたまに逢おう。」

タクミがハナエと別れると聞いて
アタシは少し気持ちが軽くなった。

タクミはもう一度キスをして

「後で2人きりで逢おう。」

と言って店に戻った。

ハナエが最近元気がないのはタクミとの別れのせいだったと初めて知った。

席に戻るとレオがアタシの隣に来た。

「トイレ長かったな?具合でも悪い?」

「ううん、大丈夫。

少し外の風に当たって来た。」

その時レオがアタシの手を握って来た。

アタシはタクミの視線を気にした。

タクミのためにレオと別れるつもりなんかないのに
タクミの前でレオと仲良くするのは凄く居心地が悪かった。

だからってレオを拒んだり出来なかった。

レオがアタシの耳もとで囁く。

「キョウ、2人で抜け出そう。」

タクミのことは気になったけど
ハナエと別れるからって
すぐにタクミに行くのは間違ってる。

アタシはその夜、タクミには逢わずに
レオと朝まで過ごした。









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