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七海礼央は隣の席のアタシに何でも聞いて来る。

アタシはレオに校内を案内して
昼食も一緒に食べることになった。

いつもハナエに付き合ってタクミと食べていたが
レオも一緒に連れて行った。

「転校生の七海礼央くん。

コッチはアタシの幼馴染でハナエの彼氏のタクミ…藤堂拓海。」

「よろしく藤堂くん。」

「堅苦しいからタクミって呼んで。」

「じゃあ俺のことはレオで。」

「キョウの隣の席なんだって?

キョウはいい奴だからヨロシクな。」

タクミはアタシの保護者のようにレオに頼む。

何様のつもりなんだと思ったのかレオがタクミに聞いた。

「タクミは喜多嶋さんの何?」

「あぁ、俺はキョウの兄弟みたいなモンだな。

ガキの頃からずっと一緒に育って来たから。」

「なるほど。

じゃあ女として喜多嶋さんをぜんぜん意識してないわけ?」

タクミはその答えに少し間をあけたから
アタシは少しは期待したけどタクミは案の定、

「当たり前っしょ!」

と笑い飛ばした。

「そうか。何でも無いんだ?」

「あのね、七海くん…さっきも言ったけどタクミはハナエの彼氏なんだよ。」

「なるほどね。

それでキョウは彼氏は居ないの?」

男子はみんなほとんどアタシを喜多嶋とか喜多嶋さんて呼ぶけど…
レオがいきなりタクミみたいにアタシをキョウって呼んでなんだかドキッとした。

「アタシは…

彼氏居たらこんなとこでごはん食べてないよ。」

「そうなんだ…じゃあさオレと付き合うってのはどうかな?」

レオが突然そんな事を言うから
食べてるモノを口から吹き出しそうになった。

ハナエはビックリしたみたいだが

「キョウちゃん、いいじゃん!
七海くんかっこいいし、付き合っちゃいなよ。」

と茶化した。

タクミは

「まだ良くも知らねぇのに付き合おうって言われてもなぁ。
キョウだって困るだろ?」

とまた保護者みたいに言った。

アタシはそのタクミの言い方が気に入らなくて

「七海くんはアタシなんかでいいわけ?」

と聞いた。

レオは

「うん、キョウに一目惚れした。」

と笑った。
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