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光と影
アタシたちは27歳になった。

ハナエはタクミとなかなか逢えなくなって
浮気してるみたいだけど
まだタクミを諦めてはいないようだ。

レオは既に研修医ではなく
脳外科の専門医となって忙しく働いていた。

アタシたちはまだ付き合ってる。

最近はレオにも少し余裕ができて
逢える時間も増えた。

「キョウ…そろそろ一緒に暮らさないか?」

急にレオに言われて戸惑った。

「結婚…してって言ったら断られそうだから…

とりあえず一緒に住んでみないかと思って…

もちろん、宿直もあるし毎日は一緒に居られないけど…」

レオはこんなにカッコいいのに…
アタシを一途に愛してくれて
医者で収入も安定してて
誰もが羨む結婚相手だけど
アタシは結婚するということに迷いがあった。

レオを愛してないわけじゃない。

タクミが居ないからレオってわけじゃない。

レオはレオでアタシの中では特別だった。

結婚するなら多分レオしかいない。

「うん。いいよ。

一緒に暮らそう。」

タクミとは仕事で少し逢う程度で
昔みたいにタクミから逢いたいとか
急にキスして来たりとか
そんな行動は一切なかった。

タクミはあくまでもプロとして
モデルの仕事を貫いていた。

甘い期待をしていたアタシは
もう遠いところにいるタクミをただ見守るだけだった。




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