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タクミは契約を続けてくれたが
アタシはタクミが関わる仕事から降りた。

タクミと顔を合わせるのが辛かったし、
タクミもアタシに会いたくないだろうと思った。

結婚式が目の前に迫ってたが
実感が湧かなかった。

アタシはレオとドレスを選びに行って
写真を撮って帰って来た。

「キョウ…綺麗ね。

レオくんはモデルさんみたいね。

タクミよりカッコいいんじゃない?」

母がその写真を見て喜んでた。

タクミと比較されて何となく気分が沈んだ。

「何でタクミが出てくるの?」

「うん…そうね。」

母はアタシの気持ちに気付いてたのかもしれない。

今のアタシは幸せじゃないように見えたんだろうか?

「アタシ…レオと幸せになるから。」

そしてアタシはレオと結婚式を迎えた。

式には懐かしい顔が沢山揃ったけど
そこにタクミの姿は無かった。

「キョウちゃん、おめでとう。

これでもう、永遠にレオのモノになるんだね。」

ハナエはそう言って喜んでた。

「ありがとう。」

アタシがハナエに笑顔を見せると

「もう…タクミの心配する事もなくなる。」

ハナエがそう言ってアタシの顔を見た。

アタシはそんなハナエの言葉に驚いた。

ハナエもきっと不安だったんだ。

アタシとタクミの仲をずっと疑ってた。

「何言ってるの。

タクミをよろしくね。」

アタシはそう言って心の中からようやくタクミを解放した。






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