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ハナエが結婚すると言って
アタシは少し安心した。

15の時からハナエはずっと
タクミに振り回されてたから。

もちろん一途だったわけじゃない。

ハナエもそれなりに遊んでたし
タクミ1人しか知らないわけじゃなかった。

でも…ずっとずっとタクミを思ってきた。

アタシにもその辛さはわかる。

ハナエはある意味アタシの分身だった。

アタシがタクミに素直になれなかった分、
ハナエがタクミを愛してくれた気がした。

「ね、相手はどんな人?」

「うん?それがね、青年実業家ってヤツ?

金持ちでイケメンで、アタシにゾッコンなの。」

ハナエが幸せそうな姿を見て
何だか嬉しくなった。

「そうなんだ?今度会わせてよ。」

「うん。」

アタシは多分この時初めてハナエに心を開いた気がした。

「ねぇ、キョウちゃん…

キョウちゃんはレオと結婚して幸せ?」

アタシは一瞬、返事に迷ってしまった。

「キョウちゃんホントはタクミが好きだったんだよね?

アタシが居たから…

タクミもキョウちゃんも幸せになれなかった気がして。

ゴメンね。」

アタシは泣きそうだったけど…何とか涙を堪えた。

「何言ってるの?ハナエのせいじゃないよ。

アタシたち…縁がなかったんだよ。」

その日、アタシはハナエと2人で飲んだ。

高校生のあの頃に戻れた気がして
はしゃぎ過ぎて泣けてきた。

後悔と色んな想いがグチャグチャになって
ワケがわかんなくなるくらい騒ぎまくった。


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