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そして打ち合わせにタクミが姿を表した。

アタシは緊張しながら
キッチリと礼儀正しく挨拶をしたが

タクミの方は軽く、懐かしい笑顔で冗談を交えながら挨拶してきた。

「お、来たか？

キョウ、久しぶりだなぁ。

お前、やつれたんじゃねーの？

レオに大事にされてないのか？」

まるで泣きながら別れたあの日を忘れてしまったように、タクミは幼馴染のタクミを装っていた。

打ち合わせの後、帰ろうとしているとタクミに呼び止められた。

「お茶でもしてかない？」

マネージャーの中嶋さんの目は怖かったが
アタシはそれに応じた。

意識して断るのもなんか良くない気がしたから。

タクミと事務所の目の前にあるカフェで待ち合わせた。

奥の目立たない席にタクミが帽子をかぶって背を向けて座っていたので
アタシも気を遣いながら席に着いた。

「すっかり芸能人だね。」

「今はさ、ツィッターとかインスタとかあるから
見つかるとすぐに変な噂流される。」

アタシは仕事で逢ってるという姿勢を崩さないように書類を広げた。

「とりあえず仕事の打ち合わせっていう感じは出しておかないとね。」

タクミはそれを見て笑った。

その笑顔が懐かしくて胸が騒いだ。

その時、またアタシはタクミを忘れられてない自分に気がついてしまった。