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最近アタシは身体が少しずつ弱ってるのを感じてる。

レオから移植の話を聞いて
他人事にしか思えないほど実感が湧かなくて
夜、病院のベッドで急に怖くなって
レオに逢いに行ったけど…
急患が入っていて逢えなかった。

アタシは看護師さんの目を盗んで
真っ暗な待合室に1人で座って泣いた。

誰かに抱きしめてもらいたかった。

そんな時、思い出すのはタクミだった。

タクミを近くに感じたくて
声だけでも聞きたくて…
アタシはタクミに電話してしまった。

「もしもし…キョウ?」

「うん。」

「どうした?
もう俺には逢いたくないって…
レオとやり直したいって言ったろ?」

「うん…ゴメン…」

「泣いてるのか?

何かあったのか?」

「ううん、何でもない。
ただ…タクミは元気にしてるかなって急に思っちゃって…ゴメン。」

「キョウ、今どこにいるんだ?」

アタシはまさか入院してるとは言えなくて
そのまま電話を切った。

涙が流れて思わず声をあげて泣いてしまった。

「七海さん?

こんなとこに居たのね?

ビックリしたわよ。早く戻らないとまた熱が出ちゃう。」

看護師さんがアタシを見つけ
病室まで送ってくれた。

泣いていたから怒れなかったんだろう。

宥めるように優しく背中を叩いてくれた。






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