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レオが来る時間に駅まで迎えに行った。

「お義父さんはどう?」

「もう大丈夫よ。

お見舞い行ったら文句言われたくらいで…

それよりタクミのお父さんの方が深刻で…
何だか申し訳ない気分だった。」

「そうか。」

「とりあえず病院に行く?」

「うん。」

アタシはレオと病院に行って父の元を訪れた。

レオは父のお気に入りで
父はレオを見ると嬉しそうに笑っていた。

「レオ君、杏子を頼むな。」

毎回そう言ってレオに頭を下げる父を見て
アタシはレオと別れないで良かったと思う。

その一方でタクミを一人にしておけなかった。

「タクミに会ってもいい?」

レオに聞くとレオは一緒に行くと言って
アタシについてきた。

タクミのお父さんはICUに入ったままで
アタシたちは面会も出来ない。

タクミはすでに病院にはおらず
仕事の支度をするため実家に帰っていた。

アタシはレオとタクミの実家を訪ねた。

「大丈夫?アタシたちにできることがあったら何でも言って。」

タクミは疲れた顔をして

「大丈夫。ありがとな。」

とまた作り笑いをした。

「タクミ、キョウはしばらくこっちに残る。
だから…何かあったらキョウを頼れ。」

レオはがそんな事を言ってアタシもタクミも戸惑った。

「お人好しだな。」

タクミは悪態をついたけど…
ほんとはレオの優しさに感謝していたと思う。

レオはその夜、東京に帰って
アタシはしばらく休みをとって実家に残ることにした。

どうせアタシが居なくても仕事は回る。

退院後、そういう部署に移されてすっかり仕事への意欲を忘れてしまった。

レオにはいつも辞めろと言われてるし、
アタシにはその覚悟があった。








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