あのメロディーをもう一度
ゆきのが合唱部に入ってから二ヶ月が経過た。

正直、合唱部はゆきのの思っていたものとかなり違うものだった。

ここの中学校の合唱部は県でトップを争う実力派。

文化部にも関わらず運動部と同じ、いやそれ以上に走り込む。

プラス腹筋背筋。

その後に発声練習をしてからやっと練習に入る

というものすごくハードな部活。

ついていけずに辞めていく1年生も多くいた。

ゆきのは元々歌うことは嫌いじゃなかったし、

体力もかおるたち程ではないが普通よりはある方だろうから今のところはなんとかついていけてる。

それにここで辞めたらかおると別の部活に入った意味がなくなってしまう。

なんとなく、なんてかおるたちには言ったがゆきのにははっきりとした理由があった。

ゆきのが合唱部に入った本当の理由。

それは、かおるが演劇部に入ったからだ。

ゆきのはかおると一緒じゃなければどこの部活でもよかった。

だから部活動見学のあったあの日、かおるとかなでの跡をつけて二人が演劇部に入ったのを確認してから、

すぐ隣の合唱部の部室に入ったのだ。

もし、演劇部の隣にあったのが別の部活ならゆきのはその部活に入っていただろう。

別にかおるが嫌いな訳じゃない。

むしろこの二人は唯一無二の親友で4人の中でもとくに仲が良い。

でも...

「ゆきの??なにぼーっとしてるの??」

「あ、もも!もう部活終ったの?」

考え事をしていたらいつの間にかももが来ていた。

「うん!ゆきのは文化部なのにこんな時間までとか大変だね」

4人の中でももだけが運動部のバドミントン部に入った。

「今日は演劇部は部活なかったらしいよね。ずるいわーあの二人!」

「そーだね。私らも早く帰ろ!」
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