次期王の花嫁 ~真面目次期王は蒼眼王女に落とされたい?~(次期王の行方2) 
 壁際にたたずむクーデノムから離れてマキセは立っていた。
 ちょっと所用と側を離れ、会場に戻ってきた所。
 傍から見る彼の姿はどことなく不思議な雰囲気を感じ、すぐに見つけることができる。
 それは自分のみが感じているのではなく、皆が思っていることだった。
「やぁ、来たね」
 そう言ってマキセに話しかけて来たのはコセラーナだった。
「お招きありがとうございます。クーデノムはあっちの方にいます」
 マキセが促す手の方向に所在なさ気なクーデノムの姿を見つけたコセラーナは笑みを口元に浮かべた。
「彼は不思議と目を惹く存在だな。どういう人物?」
 コセラーナの問いに軽い口調で、
「『マジメで融通がきかない。生意気で周りは結構、煙たがっているんじゃないかな』と自分で思っているようなヤツですね」
「なるほど」
とマキセの答えに微笑むコセラーナ。
「近寄り難いというより…壊したくないという感じか」
「そうですね。誰も気にしながら話しかけられない」
 クーデノムの周囲では何人もの人…大半は若い女性だ…が彼を覗き見しながらヒソヒソと会話をしているのだが、 クーデノム自身は全く気付いていない。
 優しげな表情に柔らかい空気を放つクーデノム。
 誰もがその中に入って雰囲気を壊すことにためらいを覚え、行動できないでいるのだ。
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