次期王の花嫁 ~真面目次期王は蒼眼王女に落とされたい?~(次期王の行方2) 
「もう飽きてしまったか?」
「…いえ…こういう所は慣れていないので、何をしていいのか判らないですね」
「俺も苦手だからな、こうやって話している所にわざわざ話しかけてくる無粋な者はいないだろう、ということだよ」
「では遠慮なく利用されていることにします」」
 コセラーナの物言いは嫌な感じを受けず、クーデノムも不思議と構えずに楽しむことができる。
「さすが国主催の宴だけあって華やかですね」
「あぁ、特別らしいからな」
 そう言って促されるように送った視線の先には17.8くらいの利発そうな若者がいた。
「ルクウートの王子だ。年齢的に花嫁候補探しだろう」
「…そういう訳ですか」
 自己主張の激しそうな若い女性が目に付くのも、そのためかと納得。
 ふと顔を上げた王子と目が合ってクーデノムは会釈をすると、王子も微笑で軽く会釈を返してきた。
「優しそうな青年ですね」
 剣術の国の王子としては肉体系でない容姿にイメージのギャップに意表をつかれたクーデノムだったが、コセラーナも印象は同じだったらしく肯いた。
「でも噂によると、剣を手にしたら誰もが認める腕らしいな」
「コセラーナ様も彼を目当てに来たのですか?」
 王女であるセーラ姫なら年齢的にも地位的にもつり合いはとれる。
「……最初は様子見と思ったのだけれどね……」
 チラッとセーラを見て、くすくすと楽しげにコセラーナは笑みを浮かべた。

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