次期王の花嫁 ~真面目次期王は蒼眼王女に落とされたい?~(次期王の行方2) 
 そういえば、こうして視線を合わして女性と話したことなど、最近は皆無に等しい。
 ちょっと気づいて、苦笑した。
 相手が近寄って来ないのも事実だが、自らも合わそうなどとは思っていなかったことに。これではホント、マキセの言った通りだ。
「夜にこんな風に会えるのってドキドキしますね」
「そうですね」
 嬉しそうに言うセーラにつられるように笑顔を向け相槌をうつ。
「クーデノム様は…恋人はいないのですか?」
 躊躇いがちに聞いてきた言葉。
「……残念ながら、ね」
 真実を口にするが、なぜか鼓動が早くなった気がした。
「わたし、…立候補してもよろしいでしょうか!?」
「えぇ!?」
 驚きの声を上げて見た彼女の表情は真剣そのもの。
 冗談として笑って聞き流そうかなと一瞬思ったのだけれど、セーラのまっすぐに向けられる蒼い瞳に見つめられ、飾らない素直な思いを口にする。
「えーっと…どこが良かったんでしょう」
「雰囲気というか…飾らない感じというか…勘?」
「勘、ですか?」
「だって、まだ貴方のことほとんど知らないんだもの」
 ちょっと困った表情で告げる彼女。
 無邪気な笑顔とは違う、表情に少し心がざわつく。
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