次期王の花嫁 ~真面目次期王は蒼眼王女に落とされたい?~(次期王の行方2) 
「どうした」
 部屋に戻ってきたクーデノムをマキセが迎える。
「まだ起きてたのか?」
「クーの気配で起きたの」
 人の気配に敏感なのはさすが武官といったところだろうか。
 それでも何もなかったら声をかけずに眠るだろうに……。そんなに表情に出ていたのか。
「……セーラ姫に会った」
「ふーん、告られた?」
「そうですね」
「お、やけに素直じゃん」
 楽しそうな表情で乗り出すマキセに諦めたように微笑する。
「返事は少し待ってもらってます」
「すぐ断らなかったんだ」
「えぇ」
「以前なら間髪いれず、断っていたよな」
「即答できない相手でしょう?」
「確か、重臣の娘…即答したよなぁ」
 彼の言葉に昔にそんなこともあったと思い出し苦笑を返す。
 確か年上の高飛車女だった覚えが……。
「…タイプと正反対だし、付き合う気、全くなかったからですよ」
「今回はあるわけだ」
 揶揄を含んだ笑み。
「俺はいいと思うよ、セーラちゃん」
「…そうですね。一緒にいても苦痛は感じない相手ですね、彼女は」
 それでもやっぱり、気軽には考えられない思いがある。
「クーに足りないのは自分に対する自信だな」
 小さくぼやくマキセの言葉を耳にして、肩をすくめて苦笑した。
< 20 / 33 >

この作品をシェア

pagetop