次期王の花嫁 ~真面目次期王は蒼眼王女に落とされたい?~(次期王の行方2) 
 彼らを誘導しているのは、賭けをふっかけてきたあの男だ。
 連れてきた彼らの腰には剣が携えられている。
「あ、ちょっとヤバそうかなぁ」
 小さくクーデノムは呟いた。
 案の定、彼らの目的は自分のようだ。
 どうやら掛け金の配当金を持ってくるよりも、タチの悪い上の者を連れてきたようだ。
 そのまま逃げときゃいいのに、なんて律儀な…と苦笑を浮かべる。
 数は全部で四人。
 そのどことなく怪しい感じのする男達に彼女も気付いたようで、不安気に身をこわばせる。
「どいつだ? 5倍を当てたとか言うのは」
 明らかにそこで否定をさせてうやむやにしようと言う魂胆が見える。
 彼の容姿から脅せば屈すると思っているのだろう。
 クーデノムは一歩前に出て、彼女を守るために背後に隠す。
 逃げろと言っても傷ついた足では男達に渡すようなものだ。側に置くほうがまだ安全だと判断した。
 エイーナと呼ばれた彼女の弟らしき少年は…と視線を周囲に向けたが見当たらなかった。
 とりあえず守るのは彼女だけでいいらしい。
「あんたか?」
「そうですね。…でもあなた達は払う気はなさそうですね」
「なんだと!?」
 彼の挑発的な言葉に男達は気色ばむ。
「もとはその不当な配当金をエサに稼いでいるのでしょう? 当てが外れたからと言って脅しにかかるなんて間違ってますよ」
「貴様!」
 一人の男が剣を抜いた。
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