あなたに飼われたい
一樹に肩を抱かれ、何か呼びかけられているが、真夜は答えられない。体から力が抜けていく。

「すみ…ません、めまいが……して」

一樹の手が、真夜の額に触れた。

「熱がある」

「え……」

言われて初めて、体が熱いと感じた。
一樹は真夜をふわりと抱き上げ、ベッドに寝かせた。

どこからか体温計を取り出してきて、真夜に差し出す。

しばらくして、体温計のアラームが鳴った。熱はかなり高い。

「大人しく寝ていろ。飲み物とかを買いに行ってくる」

「ごめんなさい……迷惑、かけちゃって」

一樹の手が、真夜の頰に優しく触れた。包み込むような温かく大きな手に、不思議と心が落ち着いた。

「気にしなくていい」

一樹は部屋を出て行った。
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