あなたに飼われたい
もしかして、一晩中ここで付き添ってくれていたのだろうか。

真夜が起きたのと同時に、真夜の足元で寝ていた黒猫も起き出し、大きく伸びをするとベッドから飛び立った。ドタンと着地する音がして、一樹の手がぴくりと動いた。

「……真夜?」

真夜は下の名前で呼ばれ驚いた。

「あの……目が覚めたから、熱を計ろうと思って」

「……ああ。取ってくるよ」

カーテンの隙間からうっすらと朝日が差し込んでいる。黒猫はピチャピチャと水を飲んでいる。

「ありがとうございます」

体温計を受け取り、脇に挟んでじっと待つ。

一樹は洗面所へ行ってしまった。

それにしても、さっきの呼び方は。

「あの……吉川、さん」

部屋に戻ってきた一樹に、とりあえず名字で呼びかける。

「さっき、私のこと真夜って呼びましたか?」

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