あなたに飼われたい
(……どう、しよう、抱きついちゃったけど)

しばらくすると、真夜は気が動転しそうになっていた。

これは、どう見ても抱き合っている。
これから先、どうすればいいのだろう。
真夜はどうすればいいのかわからなくなってしまった。

「落ち着いたか」

真夜が爆発しそうになっていると、一樹が声をかけた。助かった、と思った。

(そうだ、私は、なだめられていただけだった。一樹さんにとっては、子供をあやすようなものだったんだろう……。)

真夜は返事がわりにこくりと頷いた。

まだ胸がどきどきしている。夢の中にいるようにぼやーっとしてしまう。

完全に、一樹のことを意識してしまっている。

一樹はカップを片付けに台所へ行ってしまい、部屋に残された真夜は、さっきのことを思い出しては赤くなり、を繰り返していた。

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