あなたに飼われたい
公園は高台に張り出した場所に位置し、落ちないよう高めの鉄柵が設けられているが、それでも見晴らしはかなり良い。

眼下に広がる街。雲の隙間から太陽が顔を覗かせる。

その景色を眺めていると、真夜はこめかみがズキズキ痛むのを感じた。

「……一樹さん。私、ここに前にも来たこと、ありましたか」

一樹は少しためらうようにして、間を空けて答えた。

「来たことがある、かもしれないな」

はっきりとした返事は返してくれなかったが、真夜はわずかではあるがこの光景に既視感を覚えた。

公園をぐるりと一周し、入り口のそばで立っている一樹のもとへ帰る。

「何か思い出したのか」

「いいえ……特には」

犬の散歩に来ている老人、公園で遊んでいる母親と子供。のどかな光景だ。

「やっぱり何も思い出せないけど……何だかずっと、このままでいるのも悪くないかも」

一樹さんと、2人で。

それは口にはしなかったが、一樹はどうしてか眉をひそめ「もう帰ろう」と言った。

無言で元きた道を帰る。

(……変なこと言うんじゃなかった)
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