あなたに飼われたい
その夜、真夜は久しぶりに夢を見た。

真夜はスーツを着て、高校の教室で国語を教えている。

黒板にチョークで何かを一心に書いている。書き終わり、かたんとチョークを置き、生徒の方を向こうとしたとき、突然電気が落ちて真っ暗になった。

生徒の驚く声などは聞こえてこない。

教室には真夜一人だったのだ。

真夜は校舎から出ようと思い、脱兎のごとく教室から駆け出す。するとすぐに背後から、

「おーい秋山さーん」

「逃げないでよー」

「まちなさい」

と、複数人の呼び声がした。

真夜は無我夢中で走るが、夢の中でうまく走ることができない。

捕まる。捕まったら、殺されちゃう!

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