あなたに飼われたい
「何だ」

真夜は混乱していた。訊きたいことは山ほどあるが、男の雰囲気に怯んでしまう。

「私……何も思い出せないんです。自分がこれまで何をしていたのか、、、名前と生年月日以外何も覚えてないんです。職業も、住んでる場所も」

「……記憶喪失か、それは聞いている。俺はある人の依頼で君が回復するまで面倒をみることになった。すまないが急ぐ。浴室や台所も勝手に使ってもらって構わない。大丈夫、ここは絶対に安全だ。もし何かあったらその端末でメモの番号にかけてくれ」

それだけ言うと、男はさっさと出て行ってしまった。

部屋には、真夜と2匹の猫が残された。

「……何が何だか、さっぱりだわ」
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