日野くんの心が知りたいです。



「ちょ、どうしたの!?」



いつも七草さんと一緒にいる女子、戸山さんの声が聞こえて、本を読む手を止める。



気づけば顔を上げていた。




もう目の前にアイツはいなかった。



そして、俺の目に映ったのは、泣き腫らしたような七草さんの顔。




え、なんで?



七草さん、泣いたのか?一体どうして?誰に泣かされたんだろう?




「……あー、ダメだ」



この気持ちに自覚してからは、気づくと七草さんのことばかり考えてる。




恋なんて俺には無縁だと思ってた。



それこそ、七草さんが読んでるような恋愛小説の中だけの話だと思ってた。

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