日野くんの心が知りたいです。



いつかの、夕暮れ前の教室。



日直の仕事で、七草さんと2人きりになった俺。




七草さんだけは、本当の俺を見ようとしてくれる。



口下手な俺の言葉を、いつだって待ってくれる。



そして、飽きずに「日野くん」って笑いかけてくれる。




そんな七草さんといるうちに、俺も少しずつだけどつられて話すようになった。



七草さんも俺の変化に気づいてたみたいで、クスクスと笑っていた。




それを指摘すると。



『えへへ、ごめんなさい』



またいつもの明るい敬語で、へラリと笑った。




かわいい……。



不覚にも本音が漏れそうになった。

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