日野くんの心が知りたいです。
自分のとは思えないような感情が、胸の中に広がる。
こんな気持ち、初めてです。
「……弥生?」
私が珍しく俯いていたからか、さっきまで三沢くんと話していた愛莉ちゃんが駆け寄ってきた。
少し遅れて、三沢くんも心配したように顔を覗き込んでくる。
「七草さん、どうかしたの?」
「なんでも、ないです……っ」
日野くんは、メガネを外したらイケメンだし、バスケは上手だったし。
モテる要素を兼ね揃えてるんだ。
だから……女子からの人気が出るのは、当たり前ですよね。
その事実が少し寂しかったことは、みんなには知られたくなくて、言えなかった。