エリート医師のイジワルな溺甘療法
主治医とプライベートで会う方法
平日の昼間。通常ならば仕事に勤しんでいるはずの午前十一時、私は今、笑顔がさわやかな男性と狭い空間でふたりきりになっている。
少し色素が薄くて茶色っぽい彼の瞳は、私をまっすぐに見つめてくる。
その少しだけ鋭さを備えた眼差しは、私の心を鷲掴みにして離さない。
すっと通った高い鼻梁に、形がよくて薄い唇はとても理知的。ウェーブのかかった柔らかそうな髪は清潔感にあふれていて、彼の十分すぎるほどに整った顔だちを際立たせている。
どこからどう見ても、一部の隙もないイケメン。
こんな人が私の相手をしてくれるなんて……。今までの人生で出会った中では、ダントツに極上な人だ。
「じゃあ、そろそろ始めようか」
血管の浮き出た男らしくも大きな手が、私の脚をそっと持ち上げた。
彼のスマートで長い指は、状態を確かめるように優しく触れてくる。
その指先を目にするだけで胸が震えてしまうのは、これから起こる事に対する緊張のせいだけじゃない。
彼と出会ってから早一ヶ月が過ぎ、とうとうこの瞬間がきてしまった。
初めてだからすごく緊張してしまうし、不安にもなる。
アレは痛くないんだろうか。終わればスッキリするものなのか。もしも傷ついて血が出てしまったらどうしよう。
そんな私の気持ちを感じとったのか、彼はふわりと笑った。
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