エリート医師のイジワルな溺甘療法


「穂乃花ったら。今日は、朝からずーっと、蕩けそうな顔しちゃってるよ」


マホガニーでのお昼時、休憩室に向かうエレベーターの中で、麻友はこっそり私に耳打ちしてきた。


「え、うそ。すごくしまりのない顔してる?」


熱くなった頬を手のひらで隠すようにして問うと、麻友はにこーっと笑う。


「うん。幸せオーラが駄々漏れてる。サビカンの中が、穂乃花が撒き散らすハートで埋もれて、空気がピンクに見えたよ」

「うわ、ほんとに? そこまで漏れっぱなし?」


自分でも上機嫌だと自覚していて、これでもむやみにニヤニヤしないよう気をつけていたのだ。

気づかないうちにひとりで笑っていたりして、お客さまに見られて不気味な店員だと思われていたらどうしよう。


エレベーターが止まり、麻友が開ボタンを押してるうちに出ると、目の前にある休憩室に入る。

テーブルに着いてお弁当をひろげながら、麻友は私に笑顔を向けた。


「ピンク色は、冗談。でもなにがあったか、お察ししちゃう。超絶極上先生と上手くいったんでしょ?」

「……うん、抱かれたの。私のこと好きだって。まだ半分信じられないというか、夢みたい」


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