エリート医師のイジワルな溺甘療法
彼のことを考えていても、そうじゃなくても、胸があたたかくてふわふわしている。
こんな気持ちになるのは久しぶりだから、ハートが駄々漏れていると言われても抑えられない。
彼もこんな気持ちでいてくれてるのかな。それとも平常心?
仕事の合間に私のことを思い出してほしいけれど、デレ顔をほかの人に見られるのは嫌だな。
あれは、私だけのものにしたい。
「やっぱりそうなんだ。想像よりも早かったなー。穂乃花のことすごく大切にしていたみたいだから、抱くのは脚が完治してからかな?って思ってたんだけど」
麻友は、やっぱりお医者さんもオトコなんだねーとしみじみ言って、照り焼き肉を頬張った。
彼が私を抱いたのは、私が杖なしで歩いたのが大きな理由だと思う。
もしもあのときそうしなかったら、彼は私を抱かなかったし、気持ちを知ることもなかったんだろうな。
がんばって歩いてよかった。以前の私だったら、あのまま素直に座っていたのに。受け身オンリーから、少しだけ、攻める女に変われたのかな。
「彼、脚のことは、かばっていてくれたと思う。多分」
朝彼は『ムリさせた』と言ってたけれど、それなりに気遣っていたはず……おそらく。だって、脚の痛みはなかったんだもの。