エリート医師のイジワルな溺甘療法
彼がどんな顔をしていて、なにを思っているのか知るのが怖くて、ついうつむいてしまう。
それでも、言うと決めたことは、ちゃんと伝えたい。
「だけど、雄介さんはお医者さまで、私は平凡な一般患者で。おまけに、こんなに素敵なマンションに住んでるから、身分違いだって、あこがれだけで済ませようって、あきらめていたんです」
今までにさんざん考えて悩んできたこと。彼に全部は分かってもらえないかもしれない。でも精いっぱい伝える。私の、初めての告白だから。
「でも、雄介さんの仕事をする凛々しい姿とか好きで、インテリアに無頓着なところとかも、やさしいところとか、たまにイジワルなところも。それから、時々垣間見える弱さとかも。どんどん好きに、なっていって……」
うつむいていても視界に入る彼の手は、膝の上から微動だにしない。
彼の男らしい手が好きだった。色気のある長い指も。指先で触れてくれるだけでうれしくて、低い声で名前を呼ばれるだけで胸が震えた。
私は本当に彼のことが好きなのだ。
「だから、私、雄介さんを守りたいって、思ったんです。私、今までずっと受け身ばっかりの人生で、自分からこんなふうに思った人は初めてで……この先も現れそうになくて……」