エリート医師のイジワルな溺甘療法
あのアンティークなインテリアの素敵なお店で、魔法にかけられたような。
先生が醸し出す大人の男の色気とか、話したこととか、思い出すたび気持ちがふわふわして現実味がない。
そして、あの約束。
私が先生と休日に会って買い物デートして、個人的なリハビリしてもらえるなんて、いったいなんの罠?
「そっか、超絶極上先生とお食事できたんだ。誘うために、あれこれ作戦立ててたのにね? 無駄だったわけだ」
麻友はクスクスと思い出し笑いをしている。
あの夜は、ふたりとも酔っていたこともあって、突拍子もないアイデアもあった。
とりあえずインパクトが大事だよね!ってことで、待ち伏せするとか、いきなり抱きついて唇を奪ってみるとか。
そんなの、一歩間違えばストーカーになって、訴えられてしまうよ。それで裁判長に、直径一メートル以内近づくことを禁止されるのだ。
まあそんなことは実際にやらないし、女子会の飲みネタとしては最高だったわけだけど。決して、他言できない。
「あ、そうだ麻友。病院で誘うのはNGだったよ。先生は診察中も誘われ慣れてるって。どんな美女でも、鉄壁の要塞に果物ナイフだけで挑む感じ。近寄っただけで撃沈するの。即死亡」
「うわ、さすが極上のモテ男は違うね。でも、みんな考えることは一緒なんだ。インパクト勝負」
「その気持ちは分かるんだよね。診察中しか話せないんだから、誘うタイミングは限られてるもん」