ドロップ!~別編~
「みどりはさぁ」
「あー、やめてやめて。飛鳥に呼ばれると
俺の名前が汚れる」
「......てめぇ...」
ムカつく餓鬼だ。
「鮎美はさ」
「ねぇ、俺一応ヤクザの長男ですけど?
気軽に苗字呼び捨てにしないで」
「...なんなのこの子」
頭を抱える俺を鼻で笑うクソガキ。
舐めてやがる。
「じゃあなんて呼べばいいの?」
少年は笑った。挑発する様に、
心底ムカつく顔をして。
「そんなん自分で考えろよ」
こんなムカつくガキは初めてだ。
功績を残しているから特に。
最初はクソ生意気だと思っていた。
みどり目線で話が出来なかった。
ただただ、ムカつくガキだとそう認識していて。
当然だ。ここはドロップなんだから。
人の心配、なんてする心を持っている奴がいたらドロップは成り立って無い。
そもそもそんな余裕自体、ここにはいない。
なんで気付かなかったんだろう。
最初から璃花を心配しているみどりに。
会った時から顔に笑みを張り付けている少年に。
その少年が璃花以外の全ての人間を
...憎んで殺そうとしていることに。