ドロップ!~別編~
朝食を食べ終わって学校に行く直前、

「...璃花?どうかした?」

葉月が心配そうに見てきてハッとした。

「あ、ごめん。全然大丈夫!」

「...そう?」

私より30cm近く背が高い葉月に
(わたしは146cm)屈んで目線を合わせられて
私の頬は染まった。

...ほんと、綺麗な顔してる

人の顔とかに興味のない私でさえそう思ってしまう。実際、葉月は歩くだけで周りの人が振り返ったり慌てて追いかけてきたりされる。

それは数樹も優もみどりもそうなんだけど、

「御波くんは別格!もうあれは人間じゃな

い!」

多くの女子からキャーキャーギャーギャー
言われてる。

「璃花?」

「あ、...ごめん葉月...」

私は口元だけ笑いを浮かべて玄関に向かおうとした
...でも。

「っ!?」

気がついたら葉月の手が首の後ろと膝裏に回っていて、

「え、な、に。葉月??」

葉月は少し眉を寄せて近づいてきた。

お姫様抱っこ、をされてる私と葉月の距離は当たり前だけど結構近くて
コツンと当たった葉月の額、目を閉じている顔に胸が鳴った。

自然と二重のラインに目がいって、やっぱり綺麗だと思ってしまう。

「...熱い」

「え!?」

そのまま階段を上る葉月。
私は慌てた。

「ちょ、待って!葉月、学校!」

「何で?」

葉月は私の方なんて見ない。もうすぐ階段を上りきってしまう。

「大丈夫だからっ、降ろして!」

言った直後に咳き込んで葉月は階段を上ってすぐの所の葉月の部屋のベットに私を降ろした。

私は寝転がりはしなくてベットの縁に座っていたけれど咳が止まらなくて葉月はずっと
優しく背中をさすってくれていた。

「ごめっ、葉月っ」

「いいから。無理しないで」

何でそんなに優しくしてくれるのか
そんな優しい声でそう言ってくれるのか
未だに私は分からない。

「大丈夫?」

咳がようやく止まって葉月はゆっくりベットに私を押し倒した。
ドキッとしたけれどそのまま毛布をかけてくれて。12月の朝は寒い。

「ごめん、葉月...」

葉月は少しだけ眉をひそめて私を見た。

「え、なに?」

「璃花...」

「?」

なんだろうと思っていたら葉月が私の目をじっと見て言った。

「悪くないのに謝るの禁止」

「え、......でも私」

「熱、計れる?」

私の言葉を華麗にスルーして葉月は体温計を渡してきた。
...なんか飛鳥に似てきたな。

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