ドロップ!~別編~


「何警戒してんだ」

ハァと藤堂が溜め息を吐いて俺はギクッと

肩を竦めた。


なんで警戒してるってわかったんだ。


俺の気持ちを読んだように藤堂は俺を見ず

ワインのコルクを開けた。


ポンッといい音がした。

「ポーカーフェイスの癖にちょこちょこ

顔に書いてあるからな、飛鳥は。」

「へ!?いや、そんなことな...」

「あるから言ってんだろ」


ワインをグラスにそそいだ藤堂は金色の液体

を見て少し懐かしむような表情をした。


「...いつから」

「あ?」

「いつから気づいてた?」

俺の問いに藤堂は鼻で笑った。

「最初から。」

最初って...

「俺が、貴と入れ替わってから?

いや、それよりもっと前か...?」

「さぁな。」

藤堂はもう一つのグラスにもワインを注いだ。

それを俺に呑むように顎で示すもんだから

俺は慌ててグラスを持った。


カチンとグラスを合わせる音が指令室に響いた。


「人替わりの日だったよな。

あ、クリスマス・イヴか。」

「......どっちも同じだ。」

そうだけどさ。

藤堂の前ですねた俺は一杯目にして既に

酔いが回っているのかもしれない。


このワインを懐かしむのは理由があった。


「懐かしいな。璃花が初めて飲んだ酒」

「......ぶっ倒れたけどな。」


クリスマス・イヴの夜。

dropにもある行事がある。

それは一般的なクリスマスとはかけ離れている残酷な行事。

人替わりの日。

クリスマス・イヴの夜はdropが血で染まる。
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