ドロップ!~別編~
まぁ、そんな訳だからクリスマスは医者の

俺は全くクリスマスを楽しめないっていうね


こんなイカれたクリスマスなんて

あんまり好きじゃないけど...。


あのときは確か弥生もいて...

弥生と璃花が殺し合おうとしてたから必死に

止めた記憶がある。


だってdropで必要不可欠なほぼ完璧といって

もいいNo.1、No.2が相棒同士で殺し合い

って。


どっちが死んでもdropに損しかないし

ていうかどっちかが死んだら絶対

君たち悲しむでしょ?


そう尋ねても

『全然?』

弥生は無表情で 璃花は無邪気な笑顔で

もうこいつらホントやだ。そう思った瞬間だった。


上のヤツが下のヤツに潰される。

なんでもありのバトルロワイヤル。


当然、璃花も弥生もみどりも

下のヤツの相手をしなきゃなんなくて。


みどりってやっぱ情があんのかな。

殺しはしないだろうなとか思ってたのが甘かった。


銃が体の1部と言っていいほど完璧なみどりは

銃を使おうとしなかった。

あいつは殺す時銃の方がいい。

誰もがそう思った。璃花以外は。


実力派の組の長男ってことを忘れてた。


ほんと、みどりの周りだけ血だらけで。


入ってきたばっかで璃花や弥生よりも

人殺しの回数が少ないみどりは相手がどのく

らい殴ったら死ぬのか多分あんまり分かってなかった。


ただ、銃の扱いは完璧だから

どこ撃ったら苦しむとか

どこ撃ったら死ぬとか

そういうのは分かってたと思う。

多分そういうのを色々考えて相手の苦しいとこ狙ってたんだろうけど


いや、参ったね。全部 動脈狙いで。


出血多量で殺そうとしたんだろうけど


厚い血管殴って、動脈ってね?勢いよく血が流れてるんですよ?


みどりは的確性っていうのか、まぁとにかく

全てが的に当たっていて。


相手の苦しみ様といったらなかった。

「うわあぁあッぐはぁっ!」

「...うるさ。」

血まみれになっても殴るのをやめない。

返り血を頭っから浴びても全く動じない。


完全に死ぬまでみどりは殴るのをやめなかった。


その場にいた上の方にいる奴でさえ、後ずさった。



藤堂の言葉を思い出した。


隅に置いとけないガキがいる。

......でもさ、


この子が上に居続けても

「みどり」

傷つくのはこの子だけだよ、藤堂。


みどりの肩に手を置いた。

「なんだよ、邪魔すんな。」

不服そうなみどりに首を振る。

相手の息はもう浅い。

「もう、死んだよ。」

「あ?まだ生きてる」

「放っておけばその内死ぬ」


みどりはチッと舌打ちして立ち上がった。


「詰めが甘いんだよ。」


俺を睨んでそう言ったみどりは

「うわ、最悪」

自分の血まみれの体を見て呟いて静かに部屋から消えた。

「...みどり、か」

弥生がポツリとそう呟いて、少し璃花を
見た。

弥生も璃花も返り血をあびていて
何人も殺した。

「なぁ」

「ん?」

「あいつ、何人殺した?」

「...8人、くらい?」

弥生が少し考えているような表情になる。

璃花の顔も暗かった。

「あいつ...任務でまだ人間殺したこと...」

「うん、素手はない..よ。」


まだ...。

「あぁ、思い出した。スナイパー、か。」

弥生がぽつりと呟いて、死にそうな

みどりにやられた奴を蹴った。

「う、...はぁっ」

「......素人レベル。」

「でもっ、狙いどころは悪くないよ」


子供たちがこんな話をしているのに

罪悪感を覚えた。

本来なら、幸せな人生を送っているはず
なのに。

そんな思考が遮って俺は頭を振った。

何考えてんだ、俺。

「悪くはない。でも、あいつは殺す時

銃の方がいい。」

誰もが頷く意見だった。

弥生の言葉は的を射ていた。

でも...。

「そんなことないよ。素手だって

素人レベルでも、あんなに殴れる人なんて居

ない。」

弥生が目を見開いた。

俺は思い出して藤堂を見た。


藤堂も目をみはっていた。

「だって、手に付いてた血

みどりのも混じってた。みどりだって痛いの

に殴り続けた。素手だってみどりは上手だ

よ。」

悲しそうに笑う璃花。

藤堂はそんな璃花を見ていた。

「......理解できねぇ」

弥生はそう呟いて、テーブルの上の料理を

手掴みで食べた。



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