ドロップ!~別編~

「未だに分かんねぇんだよな

何で、俺を選んだのか。」

「......」

「別にあの頃裏の方にも俺の情報は

回ってなかったし」

「......」

「ほんとに、調べても出てこなかっただろう

し」

なぁ藤堂。

俺さ、お前に拾われて人生って何か少し

分かったんだ。

しなきゃいけないことを見つけたんだ。


お前に殺されそうになっても、絶対

それだけは譲れない。


あの子達に生きる未来を。


「あの時、誰かが必要だった。」

「...は?」

誰か?

突然話し出した藤堂に頭がついていかない。

「まずは医者。

そう思ってた矢先に面白そうなやつを見つけ

た。」

「は?」

「それがたまたまお前だった。」

「......は」

「それだけだ。」

そっか、それだけか。

俺が面白そうだか......はぁああぁあ?!

「顔、うるせぇ」

「ちょっと待て!もう一回!もう一回ちゃん

と説明しろ!」

「なんでてめぇなんかに」

「拗ねた顔すんな!教えろ!」

「誰が教えるか」

「さっき教えたじゃねぇか!」

「空耳だろ」

「んなわけねぇ!」

ガタッと身を乗り出した俺と

ふいっと向こうを向いてこっちなんか向かない藤堂。

少しの沈黙が流れた。



先に口を開いたのは...

「で?お前はなんか言うことがあるんじゃねぇのか」

藤堂だった。


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