ドロップ!~別編~
「あー、ほんっとにてめぇは...」
ガシガシと頭を掻いた藤堂に唖然とした。
こんなとこ初めて見たから。
多分、目ぇまん丸になってた。
「顔で話すんじゃねぇ」
「...は!?は、話してねぇしっ」
「ツンデレか」
「んなわけねぇだろ!馬鹿にすんなっ!」
「で、てめぇは結局、何が言いてぇんだよ
飛鳥。」
...飛鳥。
そう呼ばれたのは初めてで。
なんか、そう言われたら今までの全部
高速で頭ん中に流れてきて。
「...は?」
滲んだ視界に藤堂の驚いた顔が見えた。
驚いた顔すんなよ。お前は真顔でいろよ。
俺が一番驚いてんだからさ。
泣く、なんて記憶にないことして一番混乱してんだからさ。
「ご、ごめっ。なんでだろうな。
なんかいきなり。」
「ティッシュいるか?」
お前、本当は天然だろ。
泣きながら気づいた藤堂の一面を
心に留めつつ首を振った。
腕で目を乱雑に拭う。
「俺、ここが好きだ。」
「......」
「お前がいるdropが。」
「......」
「.........でも」
言いたくなかった。
さらっと言えることじゃない。
目に涙がまた滲んで
ほんと、だせぇよな俺。
全部お前に拾われて気付かされて。
お前が俺に対等に接してくれてた理由だって
今も全然分かんねぇ、なんて。
「俺、liveなんだ。
......お前の、敵、なんだよ。藤堂...。」
長いこと一緒にいたのに。
お前は多分俺のこと全部。多分、俺以上に思ってることとか分かるのに。
今、お前が俺にどうするかも俺はわかんないんだ。
「あ?そんなん知ってる。」
「え、...」
......え?
多分、目が点になった。
そんなあっさり言うと思わなくて。
「俺が聞きたいのはそうじゃない。
てめぇはどうすんだってことだ。」
......俺。
「言っていいのか」
「言えよ」
「ここが終わることになるぞ」
「だからなんだ。」
「医者がdropから消えるんだぞ」
「その辺の知識くらい俺だってあんだよ。」
何で、そんな顔すんだよ。
俺を認めるようなこと言うんじゃねぇよ。
離れたくないって思わせんなよ...
「俺は、...俺はっ」
藤堂はまっすぐ俺のことを見てた。
どうしようも無く涙が止まんなくて。
「俺はっあの子達を救いたい
幸せな未来を創ってって欲しい。」
「公私混同でもっ、人を幸せにする為に
医者として人を救いたい...」
なぁ、藤堂。
それだけじゃ、無いんだよ。
俺の、一番の願いは......。
「......お前さぁ、ガキかよ」
笑みを含んだ静かな声。
藤堂は今まで見た中で一番、人間らしい
優しい顔をしてた。
「泣きすぎだろ」
「わ、笑うなっ」
冷酷、非道、血が通ってない、悪魔。
璃花と同様、散々言われ続けてきた藤堂を
俺が恐ろしいと思わなかったのは
きっと藤堂の中に残り続けている孤独が
俺と似た種類だったからかもしれない。
「...お前はクビだ。飛鳥。」
「......っ...」
優しさ、というものがこんなに
胸に染みるなんて思わなかった。
「さっさといけ。」
顎でドアをしゃくった藤堂。
「殺さないのか」
泣きながら聞いた。
藤堂は初めてあった時のように
綺麗な顔で、苦笑した。
「見逃す敵は1人って昔から決めてんだよ」
ダメだ、もう。
部屋を出るまでは、泣かない。
唇を噛みしめて藤堂に一礼した。
一言でも喋ったら、泣く。
背を向けて何度も藤堂と話した指令室を
後にした。
まだ、ダメだ。
救護室で荷物をまとめ、焼かれそうになったプレートを見て、泣きそうになって鞄に詰めた。
まだ、あの二人が笑い合えていた頃。
『ねぇ、ここは飛鳥の部屋なの?』
藤堂と一緒にここに来た璃花が
俺に聞いた。
『ガキ。くだらねぇ事喋ってんじゃねぇよ』
...下らない。
結構傷ついた。
『しれいしつが藤堂の部屋ならここは
飛鳥の部屋だよね?』
『え、えっとー...』
7歳の女の子に救護室をどう説明したらいいのか分からなかった。
『......飛鳥?』
璃花が心配そうに見てくる。
ここはdropで、俺はこの部屋を借りてる身で
本当は全部ここにある部屋は俺のものじゃない。
そう言ったら璃花はがっかりするだろう。
迷っていた俺。
『......ハァ、そうなんじゃねぇの?』
答えたのは、藤堂だった。
璃花の表情が明るくなって、藤堂は面倒くさそうな顔をしてた。
その次の日。
『おい、』
藤堂から渡されたプレートを見て、絶句した。
『おま、これ...』
『あいつがうっせぇから』
プレートには藤堂の綺麗な字で
『飛鳥の部屋』
長い間使っていたから、ボロボロになって、
みどりや、作った張本人の藤堂にさえ焼かれそうになったプレート。
てか、ちょっと焼かれたんだけど。
それでも、これは俺の宝で。
新しいプレートは
16歳の女の子は知っている言葉と
きっと忘れている思い出を記した。
『 救護室
~飛鳥の部屋はリニューアルしました!~』
ガシガシと頭を掻いた藤堂に唖然とした。
こんなとこ初めて見たから。
多分、目ぇまん丸になってた。
「顔で話すんじゃねぇ」
「...は!?は、話してねぇしっ」
「ツンデレか」
「んなわけねぇだろ!馬鹿にすんなっ!」
「で、てめぇは結局、何が言いてぇんだよ
飛鳥。」
...飛鳥。
そう呼ばれたのは初めてで。
なんか、そう言われたら今までの全部
高速で頭ん中に流れてきて。
「...は?」
滲んだ視界に藤堂の驚いた顔が見えた。
驚いた顔すんなよ。お前は真顔でいろよ。
俺が一番驚いてんだからさ。
泣く、なんて記憶にないことして一番混乱してんだからさ。
「ご、ごめっ。なんでだろうな。
なんかいきなり。」
「ティッシュいるか?」
お前、本当は天然だろ。
泣きながら気づいた藤堂の一面を
心に留めつつ首を振った。
腕で目を乱雑に拭う。
「俺、ここが好きだ。」
「......」
「お前がいるdropが。」
「......」
「.........でも」
言いたくなかった。
さらっと言えることじゃない。
目に涙がまた滲んで
ほんと、だせぇよな俺。
全部お前に拾われて気付かされて。
お前が俺に対等に接してくれてた理由だって
今も全然分かんねぇ、なんて。
「俺、liveなんだ。
......お前の、敵、なんだよ。藤堂...。」
長いこと一緒にいたのに。
お前は多分俺のこと全部。多分、俺以上に思ってることとか分かるのに。
今、お前が俺にどうするかも俺はわかんないんだ。
「あ?そんなん知ってる。」
「え、...」
......え?
多分、目が点になった。
そんなあっさり言うと思わなくて。
「俺が聞きたいのはそうじゃない。
てめぇはどうすんだってことだ。」
......俺。
「言っていいのか」
「言えよ」
「ここが終わることになるぞ」
「だからなんだ。」
「医者がdropから消えるんだぞ」
「その辺の知識くらい俺だってあんだよ。」
何で、そんな顔すんだよ。
俺を認めるようなこと言うんじゃねぇよ。
離れたくないって思わせんなよ...
「俺は、...俺はっ」
藤堂はまっすぐ俺のことを見てた。
どうしようも無く涙が止まんなくて。
「俺はっあの子達を救いたい
幸せな未来を創ってって欲しい。」
「公私混同でもっ、人を幸せにする為に
医者として人を救いたい...」
なぁ、藤堂。
それだけじゃ、無いんだよ。
俺の、一番の願いは......。
「......お前さぁ、ガキかよ」
笑みを含んだ静かな声。
藤堂は今まで見た中で一番、人間らしい
優しい顔をしてた。
「泣きすぎだろ」
「わ、笑うなっ」
冷酷、非道、血が通ってない、悪魔。
璃花と同様、散々言われ続けてきた藤堂を
俺が恐ろしいと思わなかったのは
きっと藤堂の中に残り続けている孤独が
俺と似た種類だったからかもしれない。
「...お前はクビだ。飛鳥。」
「......っ...」
優しさ、というものがこんなに
胸に染みるなんて思わなかった。
「さっさといけ。」
顎でドアをしゃくった藤堂。
「殺さないのか」
泣きながら聞いた。
藤堂は初めてあった時のように
綺麗な顔で、苦笑した。
「見逃す敵は1人って昔から決めてんだよ」
ダメだ、もう。
部屋を出るまでは、泣かない。
唇を噛みしめて藤堂に一礼した。
一言でも喋ったら、泣く。
背を向けて何度も藤堂と話した指令室を
後にした。
まだ、ダメだ。
救護室で荷物をまとめ、焼かれそうになったプレートを見て、泣きそうになって鞄に詰めた。
まだ、あの二人が笑い合えていた頃。
『ねぇ、ここは飛鳥の部屋なの?』
藤堂と一緒にここに来た璃花が
俺に聞いた。
『ガキ。くだらねぇ事喋ってんじゃねぇよ』
...下らない。
結構傷ついた。
『しれいしつが藤堂の部屋ならここは
飛鳥の部屋だよね?』
『え、えっとー...』
7歳の女の子に救護室をどう説明したらいいのか分からなかった。
『......飛鳥?』
璃花が心配そうに見てくる。
ここはdropで、俺はこの部屋を借りてる身で
本当は全部ここにある部屋は俺のものじゃない。
そう言ったら璃花はがっかりするだろう。
迷っていた俺。
『......ハァ、そうなんじゃねぇの?』
答えたのは、藤堂だった。
璃花の表情が明るくなって、藤堂は面倒くさそうな顔をしてた。
その次の日。
『おい、』
藤堂から渡されたプレートを見て、絶句した。
『おま、これ...』
『あいつがうっせぇから』
プレートには藤堂の綺麗な字で
『飛鳥の部屋』
長い間使っていたから、ボロボロになって、
みどりや、作った張本人の藤堂にさえ焼かれそうになったプレート。
てか、ちょっと焼かれたんだけど。
それでも、これは俺の宝で。
新しいプレートは
16歳の女の子は知っている言葉と
きっと忘れている思い出を記した。
『 救護室
~飛鳥の部屋はリニューアルしました!~』