【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
 

リョウくんは手渡された茶色のシュシュを乱暴に強く握ると
踵を返して早足で歩きだした。



「リョウくん……!」



どこに行くの?
きのう、一体なにがあったの?


うつむいたリョウくんの表情は前髪に隠れて見えなかったけど
全身から悲しい感情が溢れている気がして
あたしは慌ててリョウくんを追いかけた。





たどり着いた場所は

誰もいない屋上だった。

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