【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
「あ……リョウ、くん……?」
なんて言っていいのかわからずに呆然と彼を見上げると
彼はあたしから離れ着ていたセーターを脱いで服の乱れたあたしの体の上にかけた。
あたしに背を向けて黙り込んだ彼の視線の先には
白い雪の中にぽつんと落ちた茶色のシュシュ。
あたしじゃ、ダメなんだ。
あたしじゃ……
どんなに誤魔化しても
彼の求めている人はあたしじゃない
そんなの分かっていたけど……