【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
「あんな魅力的な男、好きになるなって方が無理だよ」
あたしがそう言うとみゆきちゃんが吹き出した。
ふたりで顔を見合わせて笑っていると騒がしくなってきた廊下。
「あ、終業式終わったんだね」
「教室戻ろうか」
そう言って立ち上がりながら窓の外で静かに降る雪を見上げる。
リョウくんは、
もう帰っちゃったかな……。
「実花! 行くよー」
「あ、うん」
そのまま、リョウくんと顔を合わせることもなく
学校は冬休みに入った。