【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
「え……、でも」
「行け行け!」
躊躇うあたしにみゆきちゃんはカバンを押し付けて背中を押した。
「……うん、行ってくる!」
カバンを受け取って頷くとみゆきちゃんは満足そうに笑った。
「後で謝恩会でね!」
教室に残るみんなにそう言ってあたしは走り出した。
思えばいつもリョウくんを見てた気がする。
いつも必死に彼を追いかけてた気がする。
それも、今日で最後なんだ。
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