【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
 

「どうぞ?」

肌蹴た白いシャツからのぞく
綺麗な首筋
逞しい胸
あたしを見下ろす意地悪な微笑。

その魅惑的な彼にくらり、と眩暈を覚える。

「え……リョウくん?」
「最後の記念にキスマークつけたいんだろ?」


言ったけど!
言ったけど!!

まさかこんな道端で
首にキスマークつけるなんて
予想してなかったんだけど!!

軽いパニックで慌てるあたしを見てリョウくんはクスクスと笑った。


「冗談だよ」

意地悪に笑いながら肌蹴たシャツのボタンを閉めようとするリョウくんの腕を
思わず掴んで止めていた。

「待って……」
「何?」

黒い前髪の間から綺麗な目があたしを見下ろす。

「どうせキスマークつけるならリョウくんの首につけてみたい」

自分でもなんて思い切った事を言ってるんだろうと
呆れそうになる。

驚いたように軽く眉をあげたリョウくんに
恥ずかしくて顔が熱くなった。

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