【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。

わたしの、ハジメテノヒト。

 

クリスマスを過ぎた街はあっという間にディスプレイを変え
お正月ムードでいっぱいになる。

賑やかな年末の街をひとりで歩きながら
「仕事用のエプロン買わなきゃなぁ」
なんてつぶやいて、可愛い雑貨屋さんのあるビルに入ろうとしていた時

「上田さん!」

どこかで聞いたことのある声に呼び止められた。

「はい?」

この声、誰だっけ?

聞き覚えのある声に首をかしげながら振り返ると
そこには優しそうに笑うメガネをかけた男の人。

「あ……!」

懐かしい顔に高校時代の記憶がよみがえった。


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